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湘南鎌倉総合病院

Ascot Medic

2023年10月18日

陽子線治療やBNCT導入
井上センター長が構想を語る

湘南鎌倉先端医療センター陽子線治療やBNCT導入


原文リンク「徳洲会グループ メディア情報」

https://www.tokushukai.or.jp/media/newspaper/1140/article-2.php


湘南鎌倉総合病院(神奈川県)は2020年に「湘南鎌倉先端医療センター」の開設を計画している。がん医療に関し、化学療法や放射線治療の標準治療はもちろん、先進的な臨床・研究施設として、陽子線治療やBNCT(ホウ素中性子捕捉療法)、RI(放射性同位元素)内用療法、PET(陽電子放射断層撮影)を用いた創薬研究・支援などに取り組む方針だ。4月に着任した井上登美夫センター長は群馬大学医学部核医学講座助教授や横浜市立大学医学部放射線医学講座教授、同大医学部長などを歴任し、日本核医学会理事長を務めた経験もある。井上センター長に構想などを語ってもらった。


がん医療の先進的な臨床・研究拠点へ



先端医療センターは湘南鎌倉病院の南西側の隣接地に建設。計画では地下1階地上4階建て。目玉となる陽子線治療装置やBNCTは1階に配置する。陽子線は体表面から深い位置でエネルギーが急速に高まり、その後、急速に低下。狙った病変に強い線量を効率良く集中し、他の正常組織へのダメージが軽減するのが特徴だ。4月の診療報酬改定で保険適用が拡大され、頭頚(とうけい)部がん、骨軟部がん、前立腺がん、小児がんの一部が保険診療となった。



一方、BNCTはがん細胞に取り込まれやすいホウ素化合物を静注し、中性子を照射すると反応してα線が発生、がん細胞を内部から破壊。国内では関西と東北地方の2カ所で治験を行っている段階だ。



井上センター長は「陽子線治療は保険適用の拡大を受け、ますますニーズが高まっていくでしょう。当センターは保険診療、先進医療、治験、臨床研究など、さまざまな切り口で、がんでお困りの患者さんに陽子線治療など先端的な医療を提供していきたい。BNCTは当センターにとってチャレンジングな取り組みですが、患者さんの利益になる技術を他に先駆けて取り入れることは、大きな意義があると考えています」と説明する。



地下1階と地上1階にはPET検査装置や、PET検査の診断薬(ブドウ糖にPET用放射性物質を標識した診断薬=FDGと他のさまざまなPET診断薬)を作製する設備を導入。「PET検査装置は、がんの診断だけでなく、種々の病気の治療効果の判定や、治験参加者のスクリーニング(選別)などにも活用したい」(井上センター長)。



また、PETを用い、医薬品開発の早期の段階に、新薬の候補物質をヒトに低用量投与し、薬物動態を調べるマイクロドーズ試験(新薬として見込みのある物質を絞り込む試験)も視野に入れ、創薬研究・支援に取り組む。



2階にはCT(コンピュータ断層撮影)、MRI(磁気共鳴画像診断)、マンモグラフィー(乳房X線撮影)、内視鏡室などを備えた健診センターを設置。将来的には遺伝子診断も取り入れる。3階には医薬品・医療機器開発の第Ⅰ相試験(フェーズⅠ)などを行う研究施設、外来化学療法室を配置。4階は幹細胞などを用いた再生医療設備を入れる。



このほか井上センター長が期待を寄せているのがRI内用療法だ。これはRIを組み込んだ薬剤を、がん細胞に選択的に取り込ませ攻撃する治療法。とくにα線核種を用いた同療法は放射線のエネルギーが強く、がん細胞に大きなダメージを与えることができ飛程距離が短いため他の細胞への影響を抑えられるなどメリットがある。臨床・研究の両面から同療法に取り組む。

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